KERSEN'S PICK VOL.10

The家飲み

初めてポーランドのボレスワヴィエツを訪れ、ケルセンを立ち上げてから、早くも12年目を迎えました。私自身のポーランド食器との出会いは確か15年ほど前。それ以来、愛らしくもタフなこの器に魅了され続けています。

長崎県佐世保市出身の私は、有田、三河内、波佐見、鍋島などの焼き物が好きだった母の影響を受けて育ちました。東京に住むようになってからも、毎年のように5月の連休には故郷の陶器市に出かけたりする器好きです。

そんな素地もベースになって、この食器との出会いに運命を感じ今に至ります。ケルセンのポーランド食器は、どの製造元から、どんなフォルムと絵柄の食器を輸入するかは、全て私(鳴川睦)が厳選しています。ですので、ケルセンで取り扱っているもの全ては私のお気に入り、と言えなくもありません。

これまで5000点以上の商品を取り扱ってきたなかで、ずーっと使っているお気に入りも存在します。なんせタフな食器です。かれこれ15年以上愛用しているものや、輸入してみて素晴らしさに気が付いたもの、なにかと登場回数の多いものなど、今回は私個人の思い入れたっぷりの「お気に入り」をご紹介します。

ロングサービングプレート(Z1432-DU984)

私は魚が大好きなのです。料理して食べる、海に行って釣る、水族館に行って眺める、など魚に関するほぼ全てのことが大好きです。特にじんべいざめやメガマウス、諸々の深海魚にも興味津々で、テレビでの特集などがあれば必ず録画予約をしています。そんな魚ラバーズにも捧げたいのがザクワディのロングサービングプレート。

このプレートとの出会いは、確かボレスワヴィエツを2回目に訪れた時、ザクワディ本社の直営店で売られていたものを個人的に買ってきて以降です。こんな大きなプレートはたとえ輸入したとしてもそれほど売れないのではないか、そういう思いも頭をかすめましたが、いや、これを気に入ってくれる方は私の他にも・・・。そう信じて発注したのは今から7年前です。

これに描かれているのは、ポーランド語ではSZCZUPAK(シチュパック)、英名はパイク、と呼ばれる淡水魚。ファイトがあるので釣り人にも人気の魚です。伝統柄のピーコックアイをベースに細長く描かれた魚は、素朴で媚びないなんとも味のある図案で、そこが私のつぼなんです(笑)。

またこのフォルムの最大の魅力は、その大きさとカッコよさ。ずっしりとした頑丈な質感と存在感は、私にとってはポーランド食器界のレブロン・ジェームス。その大きさと形に加えて特別な柄のため少々高めな価格ですが、ご購入を検討されている方の期待を裏切えうことはありません。なお私が強力にプッシュしてこれからも継続的に輸入していく商品ですので、売り切れになっていた場合には「入荷連絡を希望」をクリックしておいてください。

カフェオレボウル(V425)

以前からフランスのカフェオレボウルを集めていたほどなので、もともとこのフォルムが大好きです。内側にも丹念にスタンプされているところがポーリッシュポタリーらしくて嬉しくなるばかりか、サイドから眺めても実にカッコいいのです。両手で抱えてほっこりすると心も落ち着きます。

カフェオレ用として以外に、混ぜながら食べるサラダや丼もの、シリアルや具だくさんのスープやシチューなどを食べる時にも大活躍します。しっかりと深さがありキッチンボウルのような使い方にも活躍するので卵の撹拌なんかにも使っています。

重いとおっしゃる方も多いのですが、それこそがこの器のカッコいいところです。逆に薄くて軽かったら、カフェオレボウルには見えませんよね。手で抱えた時に熱くて持てませんし、丈夫さも半減します。このどっしりした質感とぽってりとした厚みは、食卓での安定性も抜群で、温かいものも冷めにくくしてくれるのが特長です。

小さなオーブン皿(Z279)

なんというか見ているだけで和んできそうな愛らしさ。スタッキング性としてはそれほど良くはありませんが、モノとしての魅力は抜群です。楕円の扁平率が低く、リムの施し方もエッジが効いて何ともお洒落。ぽってりした厚みはポーランド食器らしさに溢れています。

グラタンなど銘々に装う場合には、ちょっと控えめな量になりますが、上品なサイドディッシュとしては十分だと思います。現実的な私にしては珍しく眺めているだけでも嬉しくなる器のひとつです。

また、このフォルムは製造元であるZakłady Ceramiczne "BOLESŁAWIEC"(ザクワディ)社でのみ作られているオリジナリティに富んでいるところも魅力。使っていくなかでますます愛着の湧いてくる、良い食器に出会えたなぁとしみじみ思える、それがこの小さなオーブン皿です。

スフレディッシュφ18cm(W254)

簡単なケーキを作るときにはこれです。娘たちの好物の「りんごのケーキ」はいつもこれで作っています。ひとつのボウルで生地を作り、それをこのスフレディッシュに流し込み、その上に切ったりんごを並べてオーブンで焼くだけのケーキ。簡単なので思い立ったらすぐに作れるのでちょくちょく作っています。来客時にもササっと焼くと、おもてなし感もアップしますね。

とは言えケーキ型としてだけ使うのも惜しいので、大皿料理やサラダを盛り付けることも多々あります。フリルが付いているのでテーブルのアクセント的に使うのも有効です。色々なシーンに積極的に使えるタフなやつ、といった感じでしょうか。

私は食器を見て「あ、今日は〇〇を作ろう」と思うタイプで、この器を見ると「りんごケーキを焼こう」という気になります。そういう意味でも良い器です。やがて娘たちが大人になってこのスフレディッシュを目にする時に、これで母が時々ケーキを焼いてたなぁと思いだしてくれると嬉しいです。

ボウルφ15cm(W304)

これは私が日常的に銘々に取り分けて装う際に使っているWIZA社のボウルです。この食器は、重ねやすく、サイドのリムのデザインが特徴的で、フォルムとしてもとても格好が良く作られています。縦に方向に少し反ったような感じがシュッとした佇まい。個々に用意する汁気の多いおかずなどにも便利です。うちではなぜか、麻婆豆腐や麻婆茄子、春雨やワンタンスープなど中華料理にも良く登場します。

思い入れが強いばかりについ長々と語ってしまいました。本当はもっとあるのですが、それはまた別の機会に(笑)。読んでいただいてありがとうございました。

KERSEN Online Shop店長 鳴川 睦(なるかわ・むつみ)

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